学校でピアノ伴奏者になるために。

合唱コンクールで伴奏者になるために

 

中学生の生徒さんは、毎年誰かが合唱コンクールの伴奏や、吹奏楽部の伴奏を任されています。

 

今年も、地元の中学校に通う2名の生徒さんが、お二人とも、伴奏者に決定したと報告してくれました。

 

立候補した人は他にもいたそうなのですが、期日までに、オーディション曲を弾いて、学校の音楽の先生が審査される方法で決定したそうです。

 

ピアノのレッスンに通っているお子様をお持ちの保護者の方なら、いつか我が子も

 

「合唱コンクールの伴奏者になって欲しい」

 

「行事の時にピアノ奏者に選ばれて欲しい」

 

と、漠然と考えたことがある方も少なくないのではないでしょうか。

 

ピアノは、いきなり伴奏が弾けるレベルになる訳ではありませんし、やはり責任ある役目なので、ただ弾けるだけでは、ピアノ奏者としての役割を果たせる訳ではありません。

 

では、どんな能力が身についていれば、良いのでしょうか。

 

 

その1:楽譜を正しく読み解く能力

当たり前ですが、楽譜が正しく読めないようでは、伴奏はできません。

音やリズムを間違えば、歌う人が正しく音程を取ることができなくなってしまうからです。

また、書かれている記号を理解して、歌いやすいように誘導することも伴奏者には求められますので、楽譜を正しく読み解く能力が求められると言えます。

その2:書かれていることを正確に表現する能力

例えば、「P(弱く)」という記号が出てきた時に、音量を小さくすれば良い、以外のことにも考えが及ぶと良いですね。

考えるためには、やはり歌詞を見る、前後の流れを考える、ということが必要です。

 

歌詞が悲しいのであれば、悲しい音をイメージする、明るい未来に向かっていく助走をイメージさせるような部分であれば、力強さを秘めた弱い音にする、など、音楽を良いものにするために、どんな音で弾くことが大切なのかを考えられる創造力を働かせて、書かれていることを正確に表現できるようにしていきましょう。

 

その3:期日までに計画的に仕上げる能力

合唱コンクールや、行事でのピアノ奏者に選ばれたら、本番の日程は決まっていますので、そこに向けて、計画的に、いつまでに譜読みをして、ここまでに強弱やブレスの位置を確認、あとはテンポを正しく止まらない練習をする、という風に練習を進めていく必要があります。

 

例えば、普段から「この曲は2週間で合格させよう。その為には、1週間でゆっくり間違えずに弾けるようにして、2週目で強弱やテンポを正しく弾けるようにしよう。そのためには・・・」と逆算して練習計画を立てられるようにするのがオススメです。

その4:協調性

協調性はピアノを一人で弾いていると、普段はあまり考える必要が無いかもしれませんが、指揮者と合唱に合わせて皆で一つの音楽を仕上げていくのに、協調性は欠かせません。

自分で好きなように弾いていては伴奏者として務まりませんので、とても大切です。

 

合唱はどこで息を吸っているのかを理解して、ピアノもそこで一緒に息を吸い、歌とズレないようにすることも大切ですし、

歌声の大きさに合わせて、邪魔にならない音量を臨機応変に微調整することも大切です。

 

また、合唱に向けての指導を聞き逃さないようにすることも求められます。

自分は歌わないから、関係ない、ではなく”歌はここで、元気な感じで歌うのだな、じゃ、伴奏も元気な雰囲気が必要だ”など、メモを取っておくなどして、協力して一つの曲を仕上げていくということを覚えておいてください。

伴奏者は自分の楽譜だけを見て、好きなように弾いてよい訳ではありませんので、協調性が必要であることを覚えておいてください。

何があっても、絶対に止まったり、弾き直したりしない能力

練習をしていると、ちょっと難しい所はゆっくりになってしまったり、間違えたら弾き直してしまったりすることは、誰にでもあります。

ピアノの発表会でも、間違えたから、弾き直してしまった、という経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。

けれども、それは自分一人で演奏しているからできること。

合唱の伴奏では、ピアノが伴奏を間違えたから、と言って止まって歌い直してはくれません。

歌はどんどん進んでいきます。

ですから、仮にミスタッチをしてしまったとしても、絶対に止まったり、戻って弾き直してはいけません。

もし、そんなことをしてしまったら、歌っている人は、不安になり、歌も止まってしまいますし、集中して歌うことができなくなってしまうからです。

普段の練習から、何があっても、絶対に止まったり、弾き直したりしない練習、というのを取り入れておくと、きっと役に立つはずです。

今回の中学生さんの場合

伴奏者に選ばれたこの2名の生徒さんは、普段はクラブ活動にも積極的に参加していらして、週末は大会や練習などで忙しくしていると聞いています。

ですので、普段のレッスンでは、進度は速いとは、言えない状況です。

けれども、小学生のうちにしっかりと基本的なことができるようになっていらしたので、

今回のような、「ここぞ」と、いう時には、本来の力を発揮して、ビックリするくらい譜読みが早いし、2週間ほどで、だいたい暗譜で弾いていたり、テンポも仕上げに近い速さで弾けていたりして、私が驚くほど。

(伴奏が決まってから、普段の教本はお休みして、伴奏のみをレッスンの時に弾いて練習してもらっています)

 

なんだ。譜読み、早いし、練習時間確保して毎日できるんじゃないか!!

 

と、私は心の中で嬉しい誤算にニヤニヤ。

 

伴奏者に立候補するって、責任重大だけど、素敵な思い出になるだけでなく、この経験を活かして、レベルアップできること間違い無しです。

 

いつか、我が子も伴奏者になって欲しい、とお考えの保護者の方は、時間が比較的ある小学生のうちに、基本的な能力と、毎日の目標をもった練習習慣が身につくようにされると良いと思います。