「子どもが勉強やピアノの練習を自分からは、なかなかやってくれない!」
そんな悩みを持たれている保護者の方も少なくないと思います。
そこで、勉強でもピアノでも、子どもが自分から取り組めるようにするためのヒントをお伝えしていきます。
少しでもお役に立てると嬉しいです。
勉強やピアノはヤル気が出にくい?
ゲームは放っておいても、勝手にやっている。
そんなご家庭も多いのではないでしょうか。
ゲームと同じように勉強やピアノも集中してやって欲しいものですよね。
では、なぜ、ゲームは自主的にやるのに、勉強やピアノは口うるさく言わないと子どもは動かないのか。
その理由のひとつに、成長が見える化されていない、ということが挙げられます。
ゲームだと、点数やステージがアップしていき、自分が成長している姿が分かりやすいものです。
一方、勉強だとどうでしょうか?テストで点数が見える、と思われるかもしれませんが、それは日々の学習ではなく、単元ごとのまとめテストや、学期ごとのテストによるものです。
毎日宿題の漢字や計算をしたからと言って、ステージが上がる訳でもありませんし、ポイントが加算される訳でもありません。
ピアノはもっと、分かりにくいですよね。毎日練習しても、いったいいつまで弾けば終わりがくるのか、いつになったら上手になったと言えるのか、とても分かりにくいと思います。
親がさらに追い打ちを掛ける
勉強やピアノは見える化されていないので、成長が分かりにくい、と述べましたが、さらに親が追い打ちを掛けることもモチベーションが上がらない理由のうちのひとつだと言えます。
「漢字を10回ずつ書きなさい」
「計算ドリルは1ページやりなさい」
「ピアノの練習は30分しなさい」
どこのご家庭でも、このようなセリフに覚えがあるのではないでしょうか。
保護者の方は自分たちが子どもだった頃の経験から、勉強はしなければならないもの、と知っていますので、良かれと思って子ども達に指図してしまいがちです。
ピアノも、練習しないと上達できませんので、「練習しなさい!」と言いがちです。
けれども、これは自分がどこへ向かうのかわからないまま、車を運転している子どもに「次の角を右!」「まっすぐ行って!」「もっと早く運転して!」と親が助手席から指示しているようなものです。ドライブするなら、自分で目的地を決め、どの道を通っていくか、地図を見ながら運転した方が、ずっと楽しいに決まっています。
子どもは一体、自分はどこへ向かっているのか、何のために運転しているのか分からないだけでなく、何も楽しくありませんし、モチベーションアップにつながるはずがありません。
モチベーションアップの対策
例えば、漢字の練習を例に挙げますと、毎日毎日漢字ドリルをこなしてはいるけれど、一体いつまで書いて覚えれば終わるのか、分からない、という子どもの視点から、“見える化”してあげましょう。
例えば、学年で習う漢字の一覧表から、覚えた漢字はペンで消していくのです。
やらなければならないことを終わらせて消して行く、というのは大人でも達成感を味わうことができる作業です。
子どもには「あと、25個でコンプリートだよ!」などとゴールを見える化してあげると、意外と頑張ってみようと思えるものです。
ピアノの練習も同じです。当教室では希望者には、ご希望者に練習カレンダーをお渡ししています。
100マスあって、幼児さんは1日に5回弾いたら、日にちを記入する。小学生以上は30分練習したら日にちを書く、というものです。
レッスン毎に持ってきてもらい、1週間にどれくらい練習したか見せてもらいます。
さすがに先生に見せるのに、0日では良くない、というのは子どもながらに分かっていますので、カレンダーに日にちが書き込まれていないと、練習して書き込もうという気持ちになります。
100マスまでいっぱいになると、シールが貰えます。
お家では、ポイント制にするのもおすすめです。
1か月間毎日練習することができたら、好きなお菓子を買ってあげる、などご褒美があっても良いと思います。
勉強やピアノの練習をやったからご褒美なんて、良くない、と思われるかもしれませんが、続けていれば、ご褒美なんてなくても自分からやるようになるものです。習慣とは、そういう風にして身につけていくものでだからです。
思い出してみてください。お子さんが小さい時、手づかみで食事をしていた時期から、スプーンやお箸を自分で持って食べられるようになったら、褒めていませんでしたか?「すごい!スプーンを自分で持って食べられるの?えらいねぇ」などと、言っていたのではないでしょうか。それが、今ではスプーンやお箸を持って食べるのは当たり前ですし、子どもは褒めて欲しいと思っていません。親も凄いことだ、と思っていませんよね。勉強やピアノの練習もその域に達するように手伝ってあげることが目標なのです。
外発的動機づけと内発的動機づけ
外発的動機づけと、内発的動機づけという言葉を聞いたことはありますか?
外発的動機づけ、とは、言葉の通り、自分以外のもの、外部からの誘導で動くことです。ご褒美作戦やポイント作戦が、これに当たります。一方、内発的動機付け、というのは、自分からやってみよう、やりたい、という気持ちから行動することです。
はじめから、内発的動機づけで行動することができれば良いのですが、誰しもが高い志を持って勉強やピアノの練習ができる訳ではありません。
けれども、外発的動機づけからスタートしたとしても、できる自分が楽しくなる、嬉しくなる、という変化が見られるようになってくれば、いずれは内発的動機づけに変わっていくことが期待できます。
子どもが「漢字をいっぱい覚えたい」「勉強ができるって楽しい」「ピアノが弾けると嬉しい」「ピアノが特技の自分って素敵」などと思えるようになるまで、保護者の方が少しお手伝いをしてあげて欲しいと思います。
まとめ
勉強やピアノの練習にモチベーションが沸かない様子のお子さんには、是非成果の“見える化”をしてあげてください。
ポイント制でも良いですし、やったことを消していく、というのも有効です。
ポイントなどの、ご褒美作戦は良くない、と思われるかもしれませんが、やっているうちに子ども自身ができる自分が嬉しくて楽しい。という気持ちになれば、ご褒美なんて関係なく自ら勉強やピアノに取り組んでいくようになります。
それまでにかかる期間は人それぞれですが、保護者の方は温かい気持ちで見守ってあげてください。