お子さんの、音楽の習い事を続けさせるか、辞めさせるか、悩んだ経験はお有りですか?
もしかしたら、全く悩んだことは無いという方も、これから悩むことがあるかもしれません。
例えば、次のような時です。
・習い始めた時や、新しく楽器を購入した時など、楽しそうに毎日練習していたのに、だんだん練習をサボるようになってきた。
・レッスンには通っているけれど、最近はなかなか合格がもらえない。
・塾やクラブ活動などで忙しいから、受験に関係のない音楽は時間の無駄かも…
私が高校1年生の頃に、久しぶりに会った小学生の頃、同じピアノ教室に通っていた友達からは、
「さっちゃん、まだピアノ習ってたの?」と驚かれたのを、今でも鮮明に覚えています。
このことからも分かるように、一般的には、ピアノは受験やクラブ活動にあまり影響が出ない小学校の間の習い事、もしくは中学校くらいまで続ければ、よく頑張った方だと思われている習い事なのではないでしょうか。
もし、お子さんが「もうレッスンに通うことを辞めたい」と言い出したら、あなたならどうしますか?
音楽教育家、脳科学と音楽の研究者、著者であるAnita Collins アニータ・コリンズの興味深い講演会の動画があります。
What if every cihld had access to music.docx
「もし全ての子供達が生まれた時から音楽教育を受けられたら?」
歯車マークをクリックして、日本語字幕を付きで見ることができます。
この講演の内容は以下の通りです。
7歳までに音楽を始めると、IQが7.5も高くなると言われています。
さらに、IQが高くなるごとに、年収が高くなるという研究結果があります。
学習障害は、現在では、左右の大脳半球の情報連絡機能が正しく機能していない状態と理解されていますが、音楽教育はこの両方の大脳半球の働きを向上させる事ができます。
ADHD(注意欠如多動症)は脳内の運動野、視覚野、聴覚野の作動するタイミングのズレと理解されていますが、ここでも音楽教育はこの3つの脳領域を一緒に働かせる事に長けているのです。
これから私達は聞こえてくる音を違う様に聞く事にしましょう。
もしバイオリンの初心者が引っ掻く様なピッチから外れている音を出しても気分を害さないで下さい。
その小さい子供は正しいピッチをつかもうと頑張っているのです。
彼らの学びの過程に配慮した行動を取れるはずです。
あなたのお子さんやお孫さんの一年に一回の発表会に行くだけではなく、レッスンやリハーサルも参加できるか、先生に聞いてみて下さい。
学びの過程を見て、学びの不快さをも楽しめるのを見てあげて下さい。
その頑張りを認めて下さい。
もしお子さんかお孫さんがトロンボーンを習っていて、6ヶ月も経つのにまだ殆ど成果が出なくて、やめたいと言い出したら、やめさせてはいけません。
10年20年後に感謝される方の選択をして下さい。
音楽教育は全ての子供達にとって必要不可欠な教育です。
いかがでしょうか?
ここでは、バイオリンやトロンボーンを例に挙げて話されていますが、ピアノも同じです。
最初は簡単な曲、短い曲しか弾くことができないかもしれません。
練習では間違えて、止まってばかりになることもあるかもしれません。
ミスタッチが多くて、何の曲を弾いているのか、分からないこともあるかもしれません。
他のお子さんと自分の子どものレベルを比べてイライラすることもあるかもしれません。
お子さん自身から、軽い気持ちで「辞めたい」(←こう言っても、本当は励まして欲しいだけのこともあります)と言い出すこともあるかもしれません。
けれども、勢いで辞めてしまうと、後で後悔することがある、ということも知っておいて下さい。
ピアノが弾けることが自信につながることがあります。
ピアノが弾けることで、誰かの役に立てることがあります。
音楽を楽しむことで、人生がより、豊かになります。
副産物として、脳に良い影響を与えてくれます。
大学生になってから、大人になってから、子どもの頃にピアノを辞めてしまったお子さんが
「どうして、あの時、ピアノを辞めさせてしまったの?!」
と、保護者の方の選択を責めた、という話も聞きます。
もちろん、保護者の方は無理やり辞めさせた訳ではありません。
お子さんが「ピアノ辞める」と言ったので、その意見を尊重しただけなのです。
けれども、成長したお子さんは「辞めさせないで欲しかった」と言うそうなのです。
ピアノを続けていれば、もっと好きな曲が弾けたのに。
ピアノを続けていれば、合唱コンクールで伴奏者になれたのに。
ピアノを続けていれば・・・
が、あとになってから見えてくるのです。
大人になってから再開することも、始めることも、もちろんできます。
けれども、一度辞めてしまうと、自分だけで練習を続けることは難しいですし、生活の中に新しく音楽のレッスンを組み込むことができない場合もあります。
音楽の習い事を辞める時は、よく考えて下さいね。