ピアノを含めて、音楽のトレーニングを受けると、
お子さんのIQ、実行機能(後先のことを考えて、計画的に行動する能力)に
良い影響が出るという研究結果がたくさんあります。
しかし、IQ・・・これは、どれほど重要なのでしょうか?
アメリカでは、そんな議論があるそうです。
IQだけを上げるためだけに、子供に小さい頃から詰め込みの教育を受けさせたら・・・
弊害になることもあるかもしれません。
IQについては、注意が必要。
保護者も教師も知っておかなければいけないことがあるようです。
以下の動画を、バイオラ大学ピアノ教育学講師、河村まなみ先生に訳していただきました。
動画の内容は以下の通りです。
Alla Gubenko(心理学者)
Triumphant of Intelligence or Creativity Crises?
「知性の勝利?創造性の危機?」
ルイス・ターマンはアメリカの著名な心理 学者で、IQ の力を信じていました。
IQ が高ければ人は将来成功すると思っていました。
その証明のために、彼は(サンフランシスコ近辺の)優秀な子供を学校の先生達に
推薦してもら い IQ テストをして、その成績が 135 以上の子供達の追跡調査を
生涯にわたって行いました。
その殆どの子供達は後に収入が平均以上、健康であり、社会的な成功者と言える
大人になりました。
しかし、IQ 値が 135 に満たなくて選ばれなかった子供達の中から
2 人のノーベル賞受賞者が出たのです。
ウィリアム・ショックレーとルイス・アルヴァレズです。
二人とも ノーベル物理学賞を受賞しました。
このことから、大いなる成功は IQ だけによるのではないことが分かりました。
もし私達が IQ の高さだけで人を選ぶと、革新的で新しい発見ができる人を除くことになります。
知性と創造性は別の物で違う働きをします。
アインシュタイン博士が、「イマジネーションは知識より重要である」と言っています。
それは後の研究結果でも明らかになっています。
カリフォルニア大学の研究者がいくつかの発見をしました。
(1)自分の専門分野で自分なりの創造性を発揮してその分野に影響力を与えるまで 10 年はかかる。
(2)創造力は学校での勉強の結果より、学校外の教育や知識が関わっ ている。
最後にAlla Gubenko氏から
AI は子供のようには創造的ではありません。アイデアを生み出す力は私達人間にできる特別の能力です。
この能力の価値を、人間と機械との共同文明の中で 持ち続けていくべきです。
人間には知性と創造性が必要です。
ピアノで曲を表現する時、海にも、山にも、宇宙に行くことができます。
レッスンでも、「夕日が沈んでいった!」「雨が激しくなってきたけど、最後に雨が止んだ!」
など、曲の表現について生徒さんと話が盛り上がることがよくあります。
まさに音楽トレーニング、ピアノレッスンは「知性と創造性」の両方を育むことができると言えます。