ピアノは練習すれば、するほど上達しますが、練習をしなければ、
現状維持どころか、どんどんレベルは下がってしまします。
発表会の日程が決まり、その時に演奏する曲が決まれば、
発表会で自分にとって最高の演奏ができるように練習時間を確保していかなければなりません。
練習はできる限り、毎日することが望ましいです。
これは、発表会前に限ったことではないのですが、
毎日練習しないと、出来かけていたことが出来なくなったり、
あるいは、自分にとってゼロ以下の状況になることも有り得るからなのです。
だからといって、慌てて練習する必要はありません。
ピアノのレッスンで発表会の時に演奏する曲が決まったら、
そこから発表会当日が自分の演奏のピークになるように練習すれば良いのです。
初めて出会う曲なのか、もしくは、以前に弾けるようになった曲を改めて弾き直して発表会で披露するのかにもよりますが、
計画を立てて、練習するようにしましょう。
教えている先生や、教室の方針にもよりますが、
だいたい発表会から3~4ヵ月前に演奏する曲を決定することが多いと思います。
そこから、どのように練習していくか、練習時間を費やしていくかを考えなければなりません。
おおまかに発表会までの練習の流れの一例を示します。
最初の1ヵ月
譜読みをします。音の弾き間違いや勘違いを修正しながら、正しい音で弾けるようにしていきます。
また、音楽記号についても並行して確認していくことが重要です。
スラスラ弾くことができないうちからでも、
”ここで強く弾くのだな”
”ここからだんだん弱く弾いていくのだな”
という具合に、イメージしていくことが大切です。
曲のレベルによりますが、毎日30分~1時間は練習時間を確保したいものです。
2ヵ月目
少しずつ暗譜をしていきましょう。
発表会の本番では「楽譜を見ながら弾いても良い」と言われる先生もいらっしゃるかもしれませんし、
「楽譜を見ずに覚えて”暗譜”で弾きましょう」とおっしゃる先生もいらっしゃるかもしれません。
色々な考え方がありますし、先生は生徒の様子を見ながら決められるかもしれません。
しかし、コンクールや音楽大学の入学試験、定期試験では暗譜で演奏をすることが当たり前になっています。
曲を人前で披露するからには、それなりの完成度が求められます。
演奏する側の人も、他人に聞いてもらうのだから、
つまりながら、たどたどしい演奏を披露するより、より完成された、
自分の実力を発揮した演奏をしたいと思うはずです。
その為には、楽譜にかじりついて演奏するのではなく、音符や記号を全て頭に叩き込み、
手が勝手に動くようになるまで練習することが必要です。
そこまで練習することで、人前で演奏する自信にもつながりますし、
力をつけていく上で大切なステップを踏んでいくことになるのです。
暗譜は簡単で短い曲ならば、すぐに出来てしまうかもしれませんが、
長い曲になってくると、すぐに暗譜することは難しくなってきます。
毎日の練習の中で、少しずつ暗譜することを念頭においた練習をしていかなければなりません。
少しスラスラ弾けてきたら、楽譜を閉じて弾いてみると、意外と手が覚えていて弾けるということがあります。
難しいフレーズになってくると、何回も何回も繰り返して練習し、
楽譜を良く見て音の流れの法則を自分なりに見極めて暗譜のヒントにしていくと良いでしょう。
ここまでくると、練習時間を決めて練習するというよりも、
「今日はこのページを暗譜できるまで練習は終わらない」
と決めて練習する方が効率は良いかもしれません。
もしくは、ピアノのレッスン中に先生から「次回のレッスンまでにここまで暗譜してきてね」と言われたら、
確実にそこまで暗譜できるように練習時間を費やしましょう。
今日は暗譜できたから、明日は続きから暗譜すれば良いな、と思っていても、
数日経てば、細かい所が意外と覚えられていなかった、ということがありますので、
毎日自分に課す暗譜の課題、プラス、前日までの復習を必ずするようにしましょう。
暗譜が得意な人と苦手な人とがいますが、弾かなければ忘れてしまう、というのは殆どの人に当てはまりますので、
毎日最低30分から1時間は練習するようにしましょう。
最後の1ヵ月
最後の一か月は調整です。
人前で演奏することに慣れていないと、やはり舞台の上でライトを浴びて、
大勢の人に見られながらピアノを弾くということは、勇気がいりますし、とても緊張する時間です。
少しでも本番の緊張を和らげるためにも、”人に聞いてもらう練習”をした方が良いでしょう。
つまり、ピアノの先生だけではなく、友人にも聞いてもらって、
発表会の緊張に勝つ練習時間を作るのです。
もし可能なら、ピアノの先生にお願いして、
レッスンの前後の時間の生徒さんと順番に発表会の曲の弾き合いをするのです。
それが難しければ、学校の先生にお願いして、音楽室のピアノを借りて、
友人数人にお客さんになってもらって練習するのも効果的だと思います。
このような練習を積み重ねていくうちに、自分の弱点が見えてきますので、
それに合わせた練習で調整していきます。
”どうしても弾いている最中に頭が真っ白になって、止まってしまう”ということであれば、
まだ暗譜が完璧では無い可能性があります。
何となく手が覚えているから大丈夫かな、と思わず、見直しのために、初めから最後まで、
とてもゆっくり弾く練習をする時間を作って下さい。
早いフレーズは勢いで弾けてしまうことが多いですが、
慣れてくると、音を外していたり、手だけに頼って、頭では分かっていないところがあったりするものです。
そこで、とてもゆっくりとしたテンポで弾いてみると、
音の曖昧さが浮き彫りになるので、確認することが必要になってきます。
また、右手だけの練習、左手だけの練習をしてみると、こちらもまた、意外ときっちり弾けていないことがあります。
詳細を確認して、弾ける自信をつける練習をすることが発表会前には必要です。
しかし、練習し過ぎて手を痛めてしまったり、演奏曲のピークが発表会より前に着てしまっては勿体ないです。
演奏曲のピークというのは、完成されて、一番良い状態で弾ける状態のことです。
ピークを過ぎると少し飽きてしまって、下降していくことがありますので、
自分の状態を考えながら練習時間を調整してください。
それは、練習を中断するといいう意味では無く、気分転換しながら他の曲を弾いてみたり、
録音して自分の演奏を客観的に聞いてみたりする時間を持つという意味です。