ピアノが弾けると、良いことはたくさんあります。
そこで、どのように良いことがあるのか、
代表的なものをご紹介していきます。
お子さんに、”ピアノが弾けるようにさせてあげたい”と親御さんが考えるとき、
どのような良いことがあると考えてピアノを始められるのでしょうか。
「ピアノが弾けると楽しそう」
「音符が読めるようになれば、音楽の授業で困らないだろうから」
「長く続けられる趣味になるだろうから」
「もしも上達したら、自宅でピアノ教室くらい開けるかもしれないから」
などが挙げられると思います。
これは、どれもピアノが弾けると良いだろうな、と考える一般的なものではないでしょうか。
実際に、どれもピアノが弾けるようになると得られる可能性があるものばかりです。
では、他にどのようなことが考えれらるでしょうか。
よく思い浮かべられるのは「頭が良くなる」や「脳の活性化」ではないでしょうか。
指先を使うことは脳を刺激することになるので、
両手を使って演奏するピアノは脳には、とても良いと言われているのです。
右手は”論理的な思考”を行う左脳に影響を及ぼし、
左手は”五感を通じた感覚・感性”を取り扱右脳に影響を及ぼします。
殆どの人は右手か左手が、どちらか自分の利き手になる方をよく使う傾向にありますが、
ピアノを弾くことにより、右も左も両方の手を万遍なく使いますので、
左脳も右脳も刺激されるという訳です。
また、ピアノを弾く時には手元ばかりでなく、
楽譜も読んで、瞬時にどの鍵盤を押さえるのかを判断しなければなりません。
楽譜は自分が今、弾いている音より少し先を見て、頭で次の音を弾く準備をしなければならないのです。
そして、ピアノから出てくる音を聞いて正しく弾けているかどうか確認し、
美しく、音楽的に表現もしなければなりません。
さらに、楽譜を見なくても弾けるようにするためには”暗譜”という作業をしなければなりません。
ピアノを弾くためには、こんなにたくさんのことを一度にしなければならないのです。
つまり、これは「ワーキングメモリー」を鍛えていることになります。
近年の早期教育の本や脳トレーニング等で使われることが多いことばですが、
この「ワーキングメモリー」というのは日本語では”作動記憶”と呼ばれています。
これは1960年代に発表された記憶に関する概念で、情報を一時的に脳内に保ちながら、
その情報を操作し利用することを含む、一連の記憶の過程のことです。
この「ワーキングメモリー」を鍛えるためには、複数のことを同時にこなしたり、
頭の中に記憶しておいて、順番に処理することが求められます。
”複数のことを同時にこなす”というのはピアノでは前述したとおり、
両手をバラバラに動かしながら、楽譜を読み、耳で音を聴くことにあたります。
”頭の中に記憶しておいて順に処理する”というのは、
ピアノで言えば今弾いている音よりも、少し先を読んでそれを記憶しながら手で鍵盤を押さえる作業や
暗譜をする作業にあたると言えるでしょう。
この「ワーキングメモリー」を鍛えることで、
日常生活の何気ない会話のように、コミュニケーションをとることや、
家事、スポーツ、ビジネスと言った様々な日常生活を豊かなものにするだけでなく、
ダイエットを成功しやすくしたり、うつや認知症になりにくくなるなど、
健康面でも良い成果が表れるといわれています。
なた、子どものうちに、ピアノが弾けるようになると同時に、
簡単な楽譜なら、初めて見た曲でもすぐにピアノで弾けるような練習を重ねた場合、
勉強においても偏差値が標準をかなり上回る傾向にあります。
つまり、自ら計画的に勉強に取り組む学習意欲が高く、自己コントロール能力が高いということです。
このように、生きていく上で必要な脳の力を養うことができるので、
ピアノを弾けるようになると「頭がよくなる」と言われているのでしょう。
次に挙げられるのは「自分の考えを表現できるようになる」ということです。
ピアノで楽曲を演奏する時、楽譜に書かれた指示や
レッスンに通っている先生から教えて頂いたことを参考にしながらも、
最後は演奏している本人が、どのように演奏したいのかを考えて、
それを聞き手に伝わるように表現しなければなりません。
頭の中で楽曲に対する自分なりのストーリーや絵を思い浮かべて、
ピアノの演奏を通じて表現するのです。
世の中には色々な考えや感じ方の人がいます。
「このお料理、とても美味しいから食べてみて。」と、言われて食べてはみたものの、
全く美味しいと感じられないことがあるように。
「この映画、とても面白いから観てみて。」と、言われて、観てはみたものの、
全く自分の好みの映画では無かった、
ということがあるようにです。
自分とは考えが違う人のことを受け入れながらも、
”自分はこう感じる””あなたは、こう思っているんだよね”ということを認め合うことができるようになれるのです。
しかし、これはピアノを自由に楽しく、ピアノを弾いている人の考えを尊重した練習を重ねた時の話です。
馬鹿げた解釈、おかしな表現方法をしたとしても、
周りの人が叱ったり、笑ったりせず、尊重することが前提にあります。
表現している本人は大真面目な場合があるのですから。
ラベルという人の作品で「ボレロ」という曲は、
同じメロディー、リズムが繰り返されることで有名ですが、
この曲も初演の時には聴衆から「この曲を作った人は狂っている」
と言われたり、「一体、何回同じフレーズを繰り返すんだ」と怒って会場を出た人もいると言われています。
しかし、そんな曲が今なお、フィギュアスケートのプログラムで使われたり、コンサートで何度も演奏されるのでしょうか。
それは、やはり一生懸命表現しようとして創造した楽曲だからだからではないでしょうか。
次に「やればできる」ということを知り、自分に自信が持てるようになるということです。
ピアノの練習を通して、初めて弾く曲というのは、
はじめからスラスラ弾けるものでは無く、少しずつ練習を積み重ねていき、
全く弾けなかった曲が何日も練習をすることによって自分が思うように弾けるということを知ることができます。
そして、ピアノが弾ける喜びや楽しさを感じることができるようになっていきます。
ですから、他の物事においても、最初から「難しいからやらない」と諦めるのではなく、
コツコツと頑張ってやっていけば、いつかできるようになるはずだと思えるようになり、
物事をすぐにあきらめたり、投げ出したりしないようになっていくはずです。
また、ピアノは誰でも簡単に弾けるものではなく、
何年間も練習を重ねてこそ色々な曲が弾けるようになるものなので、
特技として自分自身を支えてくれるものになることは間違いありません。
このように、ピアノが弾けると脳を活性化したり、
自分の自信につながったりという良い点があることをお分かり頂けたのでは無いかと思います。
しかし、ピアノは頭をよくする為に弾くものでも、自信をつけるために弾くものでもありません。
音楽を楽しんでピアノを弾く。ピアノを弾くことでリラックスできる。
その延長線上のオマケとしてついてくるものが上記に挙げたものだと言えるのではないでしょうか。
年齢、性別に関係なく弾くことが出来るのがピアノです。是非、ピアノを通して心を豊かにする生活を送ってください。