ピアノと電子ピアノのちがい

ピアノは習いたいけれど、本物のピアノは値段も高いし、

置く場所も結構必要になってくる。

それに、やっぱり向いていない、続けられない、となった時に

弾かなくなった高価なピアノは宝の持ち腐れになってしまう。

そういうことを考えると、ひとまず電子ピアノやキーボードで様子を見よう、

ということになることが多いようです。

 

では、こういう電子楽器を購入した時のメリットを考えてみましょう。

 

まず第1にお値段が格段に安い。

ピアノは鍵盤の数が88ありますが、鍵盤数25の電子ピアノでは約1万円。

鍵盤数61の電子ピアノでは2万円も出せば購入することが可能です。

本物のピアノと同じ鍵盤数88のものでも、5万円くらいから販売されています。

アップライトピアノを購入しようとすれば、

安いものでも30万円から50万円はかかってきます。

 

第2に置き場所に困らない。

電子ピアノは脚が無ければ、テーブルの上にも置けるし、

使わない時は片づけておくこともできます。

アップライトピアノでは、そういう訳にはいきません。

脚がついたタイプであっても奥行きはアップライトピアノよりはるかに薄いです。

 

第3にボリュームを調節できる。

電子ピアノは名前の通り、電気で音を出していますのでスピーカーから音が出ます。

ですから、音量は一般のオーディオ機器のように調節できますし、

ヘッドホンで練習することも可能です。

グレードが高いものになれば、色々な楽器の音色に変えて楽しむことができますし、

リズムを出してくれるものもあります。

 

こうやって見てみると、「ピアノを習う」とは言っても

電子ピアノで練習できれば十分では無いかと思えてくるのではないでしょうか。

そもそも鍵盤数が88もあっても、端から端まで使う曲なんて、

そうそうありませんので、初心者、子どもには61鍵盤で十分だとさえ思えてきます。

音量を調節できるので、近所迷惑にもなりにくいし、

上達するまでのたどたどしい練習を人様に聞かれずに済むのですから。

 

しかし、ピアノを習うのであれば、やはり最低でもアップライトピアノは必要であると言えます。

何故なら「電子ピアノ」と「ピアノ」は全く別の楽器だと言えるからです。

 

見た目は同じでも音を出す原理が全く違います。

細かいことを言い出せばキリが無いのですが、

大きな違いは電子ピアノは鍵盤を押さえると、センサーで音を出します。

しかし、ピアノは鍵盤を弾くとハンマーが弦を叩いて、

その音をピアノの響板と呼ばれる板が振動し、

楽器全体に響いて音を出しているのです。

ピンと来ないかもしれませんが、電子ピアノには音の強さ加減、

弱さ加減はある程度誰が弾いても同じようにでます。

誰が弾いても何となく強い音、弱い音は出ます。

でも、アップライトピアノ、グランドピアノは音の微妙な違いは

弾く人によって全く違います。

感動するような美しい響きがでますし、

耳を覆いたくなるような騒音も生み出します。

 

学校の音楽室でヤンチャな子がグランドピアノを

無茶苦茶に叩きつけるように弾いている場面を見たことはありませんか?

その時、耳を覆って「うるさい!!」と言いたくなりませんでしたか?

同じようなことをしても電子ピアノはそれほど騒音では無いのです。

つまり、ピアノのような風貌で、そこそこの音はでるけれども、

感動するような綺麗な音楽を奏でることが出来ないのが

電子ピアノだと言えるのではないでしょうか。

 

また、鍵盤数が88無いものを購入して、自宅で練習し、

ピアノ教室で鍵盤数88のものを弾くとどうなるか。

真ん中の「ド」が一体どこなのか分からなくなってきます。

楽譜に書いてある音は読めても、

それが意味している鍵盤の場所をなかなか覚えることができません。

上級になってくると、鍵盤が足りない、という事態にもなりかねません。

そして、最も懸念されるのは鍵盤を弾く時の力加減が全く違ってくるということです。

高価な電子ピアノになってくると、

低音と高音とで鍵盤の重さをかえるくらい

細かく計算されて鍵盤の重さを作りこんでいるようですが、

それでも、ピアノに比べれば軽いです。

一般的な電子ピアノはちょっと触れるだけで音がなります。

ピアノは音が出ないようにソッと鍵盤を押さえることができますが、

電子ピアノはそれは絶対にできません。

つまり、電子ピアノは鍵盤が軽いので、指が軽やかに動かせるような気分になりますが、

同じ曲を音楽教室のレッスンで弾こうと思っても

鍵盤が重くて、うまく弾くことができない、ということになります。

 

アップライトピアノとグランドピアノでも構造や音の出し方は多少違ってきますが、

まずピアノを習って購入しようとするならば、

アップライトピアノを購入する方が良いと言えるでしょう。

様々な理由から、どうしても電子ピアノでなければ今は購入できないというのであれば、

せめて88鍵盤で、ペダルが付いているものを選んだ方が良いです。

そして、「もし、子どもが○年生まで続けられたらアップライトピアノを購入する」

「○○の曲が弾けるようになったらアップライトピアノに買い替える」

等、決めた方が練習の励みになるのではないでしょうか。

 

アップライトピアノは「高さ」や外観のデザインや色でお値段が変わってきます。

アップライトピアノの「高さ」は弦の長さなので、高いほど、豊かな音が出ると言えます。