ピアノを弾くと、頭が良くなる、という話を聞いたことが有る方も多いと思います。
指先を使うことで脳を刺激することができるので、
両手を使って演奏するピアノは、脳にとって、とても良いと言われています。
右手は”論理的な思考”を行う左脳に影響を及ぼしますし、
左手は”五感を通じた感覚・感性”を取り扱右脳に影響を及ぼします。
多くの人は、右手か左手の、どちらか利き手になる方をよく使う傾向にありますが、
ピアノを弾くことで、右手も左手も両方の手を万遍なく使います。
そうすると、自動的に左脳も右脳も刺激されるようになるのです。
また、ピアノを弾く時には手元ばかりでなく、
楽譜も読んで、瞬時にどの鍵盤を押さえるのかを判断しなければなりません。
目では、自分が今、弾いている音より少し先の音符を見て、
頭で次の音を弾く準備をしなければならないのです。
そして、ピアノから出てくる音を聞いて
正しく弾けているかどうか確認し、美しく、音楽的に表現することも必要です。
また、楽譜を見なくても弾けるようにするためには
”暗譜”という作業をしなければなりません。
ピアノを弾くためには、こんなにたくさんのことを一度にしなければならないのです。
つまり、これは「ワーキングメモリー」を鍛えていることになります。
近年の早期教育の本や脳トレーニング等で使われることが多いことばですが、
この「ワーキングメモリー」というのは日本語では”作動記憶”と呼ばれています。
これは1960年代に発表された記憶に関する概念で、情報を一時的に脳内に保ちながら、
その情報を操作し利用することを含む、一連の記憶の過程のことです。
この「ワーキングメモリー」を鍛えるためには、複数のことを同時にこなしたり、
頭の中に記憶しておいて、順番に処理することが求められます。
”複数のことを同時にこなす”というのはピアノでは前述したとおり、
両手をバラバラに動かしながら、楽譜を読み、耳で音を聴くことにあたります。
”頭の中に記憶しておいて順に処理する”というのは、
ピアノで言えば今弾いている音よりも、少し先を読んでそれを記憶しながら
手で鍵盤を押さえる作業や暗譜をする作業にあたると言えるでしょう。
この「ワーキングメモリー」を鍛えることで、
日常生活の何気ない会話のように、コミュニケーションをとることや、
家事、スポーツ、ビジネスと言った様々な日常生活を豊かなものにするだけでなく、
ダイエットを成功しやすくしたり、うつや認知症になりにくくなるなど、
健康面でも良い成果が表れるといわれています。
また、子どものうちに、ピアノが弾けるようになり、
簡単な楽譜なら、初めて見た曲でもすぐにピアノで弾けるような練習を重ねた場合、
勉強においても偏差値が標準をかなり上回る傾向にあります。
つまり、自ら計画的に勉強に取り組む学習意欲が高く、
自己コントロール能力が高いということです。
このように、生きていく上で必要な脳の力を養うことができるので、
ピアノを弾けるようになると「頭がよくなる」と言われているのでしょう。